「海の素」

*** 海の素 ***

やさい村お店

[発売元]やさい村

東京都三鷹市下連雀3-6-25

「海の素」ものかたり -その6-

谷さんや阪本さんとは、私が主催した塩作りワークキャンプで大島の塩作りの現場や、彼らが東京に上京した時にミルキーウエイに泊まりに来てよく話しました。
谷さんは本当に一つの事をずーと考え続ける思索家でしたから、谷さんと話始めると話が止まらずに徹夜になることがしばしばでした。
太古の神代の時代人が長生きだったのは、塩が良かったからだろう。
とか、その当時人がどんなやり方で塩を取っていたのかとか、考え始めるとワクワクして、気がつくと朝になっていたなんて事が良くありました。

「人間にとっての理想の塩とは、極力人間の手を加えないで出来たもの」
が、谷さんの導きだした結論でした。
私が27〜8歳のころ御蔵島で共同体作りをしようという試みがあって応援に行っていた時があって、島で開墾生活をしながら自給自足生活をした時、南郷という廃村に住んで、200メートルほどの断崖を降りた磯で何回か釣りをしたのですがそんなある日、折り重なる巨岩の上に出来た窪みに海水が溜まり太陽の熱で蒸発して自然に出来た塩を発見したことがあります。

その出会いは強烈でした!
誰も来ることのないような険しい岩の重なりあう原始を感じさせられる海岸の巨岩の上の
窪みの潮溜まりには一面氷の様な薄い塩の結晶が出来ていたのです。
私は思わずそれをはがして口に入れてみました。
にがり分も一緒だからちょっと苦味もありましたが、その天然に出来た塩は何とも言えないまろやかな本当に食べたことのないような美味しい美味しい塩でした。

あの人の手が全く加えられていない大自然が作り出した幻の塩が、谷さんも理想とする塩だったのです。

わたしは本当に嬉しくなりました。

また、それと同時にこうも思いました。
「これはいのちの革命だ!いのちとは何かをすべての人々に気づかす事のできる本当に人類すべてに必要な運動なんだと。」

人の手を極力使わない大自然そのものが作り出した塩とは、私にはその御蔵島の荒磯で奇しくも出会ったあの潮溜まりで天然に結晶していたあの塩の事だとすぐにオーバーラップして、イメージできました。

この谷さんの「一切の人の手を加えず天然に出来た塩」のイメージは、当時福岡正信さんが、無為自然の自然農法を世界に提唱していた事と僕の中では完全に一致したのです。

不耕起、無肥料、無農薬、無除草の革命的な自然農法を提唱した福岡さんは「人知は無知」とも言っています。
やれ農薬だ、化学肥料だ、これを入れると良い、あれを入れると良い、これが必要だと小賢しい身勝手な人間の知恵を振りかざしながら、結局全てを駄目にして行っているこの文明を強烈に批判し、文明の危機を指摘し、自ら自然農法を持って大自然と共に生きる道を指し示していたのです。

農の福岡さんに対して塩の谷さん、この二人の結論は全く完全に一致していたのです。


谷さんの思考が行きついた、人類にとっての理想の塩とは、海をそのまま天日(太陽の熱と風の力)で結晶させた天日塩だったのです。
原始生命は海から発生しました、そして我々は今も塩を摂ることによって体の中に海を創り出しているのです。
その塩とは専売公社の言うようなnacl100%に近い薬品のような塩ではなく、限りなく海に近い、海のミネラルをたっぷりと含んだ、天日塩が人間には一番必要だという結論でした。

さて、公社の塩と、輸入再製塩と言われる原塩と輸入された固形にがりを使って炊きなおして出来た塩運動初期に出来た塩と、専売法が撤廃された後、海水からじかに作られている塩と、3種類の塩が、しかも最後に作られた海塩といわれる塩の中にも、せんごうと呼ばれ火力で煮詰めた塩と、完全に太陽と風の力だけで出来た天日塩が、今は同時に並べられ売られています。

皆さんはどの塩が一番いい塩だと思われますか?


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