「海の素」

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「海の素」ものかたり -その29-

〜小児と必須微量元素・各種疾患と必須微量元素〜


~亜鉛、銅、マンガン、セレンなどの微量元素は、多くの場合酵素の活性中心として機能を有し、各種疾患の病因、病態論上重要な位置を占めつつあり、生体内における役割が注目されている。
しかし、生体内での微量元素の詳細な機序は不明な点が多く、その機序解明のため各種疾患での微量元素動態をみた。

成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどは亜鉛、銅などの各種微量元素代謝に関与し成長発育に重要な役割を果たしている。
成長ホルモン欠損症や体質性低身長者に亜鉛療法を行い身長の伸びを認めることは、微量元素の基礎及び臨床的応用の必要性を示唆している。
また、糖尿病と glucose tolerance factor としてのクロミウムとの関係も注目されている。
ヒスチジン血症やビタミンA代謝と亜鉛との関係や、各種治療用ミルク中の亜鉛、銅、セレン、マンガンなどの含有量の問題も検討すべきである。
Alzheimer病、筋委縮性側索硬化症や透析を受けている腎不全患者にみられる脳症とアルミニウムとの関係も最近注目されている。
マンガンとadenylate cyclase, 糖、コレステロール代謝、骨代謝との関係や、セレンと心筋症との関係、小児期 chronic inflammatory bowel discase での亜鉛代謝異常、白血病や悪性腫瘍、貧血、感染症、ダウン症候群と各種微量元素動態との関連性も注目され、詳細な検討が必要である。

このように各種疾患における各種微量元素の必須性の探求は、病因、病態論上小児科学の重要な課題の一つになりつつある。~


*はじめに*
生体の生命・代謝現象には、各種元素が関与し、体重の99.7%以上を占める主要元素
(C、H、O、N、Na、K、Ca、Mg、P、S、Cl)のほかに、微量元素(trace elements)とし
てZn、Cu、Mn、Fe、I、Cr、Co、Se、Mo、Tiなどがある。
これらの微量元素は、生体内に占める量は極めて微量である。
多くの場合酵素と結合して機能を発揮しているが、生理的・生化学的特性、作用機序は不明な点が多い。
各疾患における微量元素の動態を調べるのは、それらの特性、機序を解明する一つの手掛かりになると思われるので、ここに各種疾患(小児科領域疾患のみとは限定しない)における必須微量元素動態について概説する。
~と、ここから臨床的な各論に入って行くわけだが今号の残り字数の関係で全てはご紹介できないので、今回は導入部として詳細は次号以降で少しずつご紹介したいと思います。


―各疾患での各種微量元素代謝―
1. 内分泌疾患
微量元素と内分泌疾患、器官との関連性が注目されている。
成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどと同様に、亜鉛、銅、などの微量元素も成長発育に必須である。
自験例の成長ホルモン単独欠損症患児では、ヒト成長ホルモン( hGH)治療前の血清亜鉛値は正常、尿中亜鉛排泄量は正常~高値を示したが、hGH治療開始3~12カ月後には血清、尿中亜鉛値ともに低下した。
Henkin は治療前高値であった血清亜鉛、銅は、hGH 治療後低下し、治療前低値であった尿中亜鉛、銅値は、治療後増加したとしている。
Cheruvanky らは、hGH 投与3カ月後の血清亜鉛値は治療前と差はないが、尿中亜鉛排泄量の低下、毛髪亜鉛は増加し、亜鉛投与により身長の伸びを見ている。
また、毛髪亜鉛値の低い体質性低身長者に亜鉛を投与し、種々の負荷試験に対する成長ホルモン分泌能の亢進とソマトメジンC産生亢進が認められている。

一方、自験例の下垂体性巨人症患児では、下垂体腺腫摘出前の血漿、赤血球、白血球亜鉛は低値尿中亜鉛排泄量は高値を示したが、腺腫摘出後各血液成分中の亜鉛値と尿中亜鉛値は次第に正常化した。
Henkin は巨人症患者の治療前血清亜鉛値は低値、尿中亜鉛値は高値で、治療後両者は正常化したとしている。
血清銅値は治療前高値を示し、治療後やや低下し、尿中銅値は治療前後で変動を見ていない。
また、亜鉛欠乏状態では下垂体機能低下状態の存在も考えられている。

このように、成長ホルモンは、亜鉛、銅代謝に、逆に亜鉛、銅は成長ホルモンの合成、分泌に影響している。


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